クルマは移動体である。よって電波の状況は刻々と変化している。しかも、アンテナには指向性(電波を効率良く受信できる方向性)があるので、ひとつのアンテナで、その変化する電波の方向をすべてキャッチできる事は難しい。
そこで、クルマの世界では、早くから複数のアンテナを設置して、その中から一番受信状況の良いアンテナを探して受信するダイバーシティと呼ばれる方式が、ラジオのFMアンテナでは多く用いられている。今回、私が購入したTVユニットも、ダイバーシティであるが、いかんせんアンテナの性能に問題があった。停止時、それも電波の強い地域であれば、何とか受信できるが、電波が弱くなったり、移動中には絶望的にTVの受信は望めなかった。
私が買ったTVの配線図を思い出して欲しい。
メインアンテナも、TVに付属してきた、二股アンテナも全てリアに集中している。
より良い受信状況を得るには、フロントにもアンテナを設置すればいいのではないか?と思うのは事前の成り行きだろう。
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1.これが、付属していた「二股アンテナ」
2.左から2本が増設分の入力端子 |
しかし、すでにTVの入力端子は付属してきた、二股アンテナで埋まってしまっている。
そこで、私は入力端子の前に別売りのダイバーシティ・ユニットを付加する事で解決しようとした。
上図がその概念図である。
リアウインドウに、もうひとつ汎用品の二股のアンテナを運転席側に貼りつけ、さらにフロントウインドウにも、助手席側にアンテナを貼りつけた。
本来なら、二股アンテナなんぞ使いたくなかったのだが、当時、室内アンテナというとまともなのは、このタイプしかなかった。
あとは、よく家庭の室内に設置している室内アンテナごときの醜い外観で、大きなモノしかなかった。とても、リヤのパーシェルに、そんなモノを載せて走る勇気は無かった…。
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これが汎用の室内アンテナ
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しかし、このタイプのアンテナは感度が著しく悪いだけでなく、ノイズもひらってしまうという問題も含んでいた。
実際に配線と貼りつけを済ませ、受信状況の確認をしてみたが、停止時には前よりマシだが、走行中、それもごく低速で動いている状況でさえ、かなり画像が乱れてTVを楽しむと言った状況では無かった。
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セイワのダイバーシティ・ユニット取り説
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それでも、車外にアンテナを立てたくは無かったので、しばらくはこのシステムで我慢する事とした。それは、室内アンテナで性能が良いモノがなかなか現れなかったからだ…。