■2匹目のドゼウは居なかった…
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後期に入って、何だか濃い表紙に… |
PA10も後期に突入して、一向に上向かない販売台数の向上が急務となった。
その頃、日本では、欧米列国から「働きバチ」と非難され始めて、やっと「ゆとり」を持とう・・という風潮が芽生え初めて来ていた。
ローレルの「ゆっくり走ろう」とかのCMに見られる様に、クルマの世界にも単純な早さとか、汗臭いスポーツ性が果たして・・といった考えが出てきた。
そんな時にHITしたのが、310サニーの「カリフォルニア」というモデルであった。
カリフォルニアは、アメリカで先行発売されて、結構な数が出てHIT作となっていたのだ。
明るいカラーリング、ボディーサイドのウッドパネル、そしてクーペ並に低められたルーフで、これまでのヴァン達との差別化を図っていた。
その成功を、もう一度・・と思うのは世の常であろうか…
やはり日産はやってしまったのである。
やはり「カリフォルニア」のHITにあやかりたい!そして、だんだんと盛りあがってきたRVヴームに願いを託して、ヴァイオレットとスタンザに5drモデルが登場した!
これが、作ったメーカーも忘れてしまっているという噂まで出ている、「ヴァイオレット5dr」と「スタンザ リゾート」である。
この二車種については、殆ど現存するモノは無く、また当時でもまったく走っているのを見た事が無い、日産でも最高の、いや孤高のレア車である。
何を隠そう、私も現行車の時、2〜3度しか見た事がないのだ!
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最後のFRサニーとして有名だが、コイツのHITも忘れてならない |
遂に登場!スタンザの5DR。その名は「リゾート」 |
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カリフォルニアと同じ文法「5dr、低められたルーフ」王道である。 |
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確かにユーティリティは良いのだが、ハッチの開口部が高く、荷物の出し入れが大変であった。 |
話はスタンザ・リゾートを中心に進めたいと思う。
リゾートは、サニーカリフォルニアの文法に法り、ルーフを低め、リヤゲートの傾斜をキツクして、スタイリングに躍動感を与え、商用車臭の、払拭に腐心していた。
合わせて当時、日産の独壇場であった、ツートンの手法「トーンオントーン」をイメージモデルに駆使して、高級感の表現にも務めていた。
このヴェージュとブラウンのトーオントーンは、ボディサイドまででなく、なんとリヤゲートまで回り込むという、実に手の凝った方法が取られていた。
確かにこのカラーリングは、過去から現在に至るまで、最高に手間が掛かったであろうツートンである。
一方、ユーティリティであるが、確かにリヤシート後方には広大なラッゲージスペースができたが、残念な事に、リヤハッチ開口部が高く、実際には荷物の出し入れが大変だった…記憶がある。
ここが、先輩たるサニーカリフォルニアとの大きな違いであった。
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一番安いグレード。しかし低められたルーフでグリーンハウスが小さく、確かに白色なのに商用車臭がしない。しかし4速MTオンリーとは… |
一方の最高級グレード「X-E」。このカラーリングは充分に高級だ。今見ても新鮮で、なかなか良いと思うのだが・・。 |
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悪路の為にハードサスペンションを?しなやかな方が… |
ただ残念なのは、まだアウトドアというと悪路と言った概念がメーカーにもあり、それがカタログにも反映されているのは、ある意味で、当時の日本人のアウトドア感が良く分かって面白い。
しかし、ながらこう言ったワゴンボディの投入にも関わらず、一向に販売台数は向上しなかった…。
そこで、日産は次の手として初代プレリュードで人気が出始めた、サンルーフの投入を決めた!
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カタログの表紙、サンルーフが強調 |
実はこのカタログは、開くと表表紙と裏表紙でひとつの画になっているのだ。 |
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もちろん、スタンザの豪華路線の宣伝も… |
確かに落着いては見える。確かに「赤系」の色は日産のお家芸だ。 |
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なぜ、スライドルーフでないか?余談だが、このモデルは私のタイプである。 |
サンルーフが追加となって、リゾートのイメージカラーも変更になった。
それは、あのトーンオントーンでは「落着き」とか「高級感」といったスタンザ本来のイメージが表現できない…というモノであった。
カタログでは追加となったサンルーフが強調される一方で、落着いたワインカラーがイメージカラーとなっていた。
確かに、あのツートンはインパクトはあるが、いざ買うとなると躊躇したユーザーが多かったというのも、うなずけない話ではない・・。
もちろん、本来の路線「小さな高級車」といったコンセプトは引き続き継続された。
しかし、このサンルーフ追加には、大きな問題があったのだ。
それは、カリフォルニア文法である「低いルーフ」が高級車たるスタンザらしくないサンルーフにしてしまったのだ!
なんと、スライディング・ルーフでは無く、何と脱着式ルーフだったのだ。
なぜ?脱着式になってしまったのか?
それは、低められたルーフの為に、スライディング・ルーフでは頭上高が確保できなくなってしまっていたからなのだ。
せっかくの開放感も、重いルーフの脱着と、外したルーフがラッゲージルームを占拠してしまうという、なんとも付け焼刃的なモデル追加といなってしまって、その魅力を半減させてしまったのだ…。
ただ、「鉄板ルーフ」と「ガラス・ルーフ」が選べる事は、特筆できる特徴と言って良いだろう。
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俗に言う「鉄板ルーフ」と「ガラスルーフ」が選択できた・・。 |
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インパネのこのスイッチを引かないとサイドから温風が出ない・・今から見ると… |
あと、空調についてこの頃から、随分と工夫が見られるようになったが、ひとつだけ面白いギミックな装備が、このPA10にはみられるのだ。
それが、「SIDE DEF」スイッチだ!
今であれば、空調のレヴァーひとつで自動的にサイドにもエアーが出るが、この当時は、まだ見なれない装備であった。
何よりも、わざわざそのスイッチを引かなくてはサイドヴェンチレーションができなかったというのは、なかなか面白い装備である。
一説には、まだサイドまで回せる空気量が確保できなかったから・・とか諸説あるが、これは日産が、あえて別動作にする事によって、特別なそして高級な装備だ!と強調したいが為にそうしたというのがホンネだったらしい。
その証拠に、高いグレードにしかそれは用意されなかった事からも伺えるのである・
何とか売れる様に努力は続けられたが、末期まで台数は上向く事はなかった。
確かにコンセプトは良かったが、エクステリアにしてもインテリアにしても、PA10ではなければならない…といった個性に乏しく、次々に追加されるモデルや装備
も付け焼刃的であった為に、ますます中途半端な感じを払拭できなかった・・。
これは海外でも同様であった。
おかげで、リゾートなる、メーカーでさえ作った事を忘れてしまったという噂が出るくらい、印象の希薄なレアカーができてしまったのだ。
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PA10の一方ヴァイオレットでは、特にネーミングは無く単純に「5DOOR HB」として売られていた。 |
海外では、ずいぶんとスポーティなイメージで売られていたのだ。 |
徳小寺 無恒が切る!? へ 復活!ブルーバードへ
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