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キャッチは「ポールとポーラのラングレー」
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N12 二代目ラングレー
初代パルサーが登場して2年後の1980年6月に初代ラングレーが登場。
それまで比較的大きな車種しか扱っていなかったプリンス店向けに、スカイラインのイメージを至るところに取り入れてラングレーは登場した。一番の共通点は後期ジャパンのGTの特徴であった、変形角型ヘットランプを採用したことだ。そのヘットランプを見れば、スカイラインの「S」マークが…。
1982年パルサーもモデルチェンジと共にラングレーも二代目に移行。
ますます、イメージはミニスカイライン化は進んだが、外観は初代に比べてイメージ重視となった。

(クリックで拡大)
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そのカタログには見開き2ページに渡って、イラストで特徴が書かれていたが、今見ると文章が「どうだ!すごいだろう!」的で面白い。
「すばらしい・・」とか「高度な・・」、「しかも」などなどの言葉が踊り、どんなささいな事でも、あたかもすごい事の様に……
・ブラック仕上げワイパー
ん!何がすごいの!?
・メルツェデス風?の大型ヘッドレスト…
自分で「?」マーク付けてどうすんの
極めつけは、
・華麗なリヤヴュー。立体感のある車名入りフィニッシャーはポルシェと同じ方式。
テールランプも好感が持てるもの。
コレを書いたのはコピーライターであろうか?それとも日産の広報だろうか?ここまで自我自賛しているカタログは、今だかつて 見たことが無い!
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しかし、スカイライン・ミニとして売っていた割には、この見開きの中では唯一グリルに関して「スカイラインRSを彷彿させる水平基調フロントグリル」としかコメントが無いのが少々寂しい気もするが…
外観は兄弟車であるパルサーに比べ、前後のデザインを変更し、パルサーに比べ幾分上級のイメージで仕上げられた。
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三本さん曰く「日産」は赤がいい…と、もちろんN12ラングレーも赤がメインカラーだ。 |
私が一番、パルサーと比較して気に入ったのは、サイドのプロテクターモールの位置。パルサーがかなり高い位置にあり、腰高な印象があったのに比べて、ラングレーは通常の位置にあり、ずいぶんと重心が低く見えた。
確かに、サイドパネルの一番出っ張った位置にモールをつけたパルサーは理屈に合っているのだろうが、クルマは機能だけではなく、機能性プラスデザイン性が重要視されるのだ。
案の定、パルサーもマイナー後は、ラングレーと同じ位置にプロテクターが付くようになった…。
N12になっての、もうとつのトピックは、5ドアが設定されたことだ。
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どのページをめくっても「スカイライン」の文字が…
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いくら、スカイラインのイメージで、スポーティさを重視して3ドアしか設定をしていないのでは、やはり数が売れなかったらしい。
5ドアも、直線を基調とした破錠のないシンプル&クリーンなデザインで、なかなか魅力的である。
日産は、N12のコンセプトを「スピンドルシェイプ」と表現していた。またこの時期、日産はアルファロメオと業務提携を結び、このN12をベースにアルファが小型車を作っていた事は意外に知られていない事実である。
インテリアは当時流行していた、メータークライスターを独立させて、その回りにスイッチ類を配置するというレイアウトであったが(代表的なモノとしてピアッツァやアルシオーネなど)かなりシンプルなデザインとなっていた。
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インテリアに関しては特にパルサーと差別化はされなかった。
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ただシートのみは、パルサーと差別化するために、赤を基調とした明るい配色がされていた。
GTに付いては内装は専用のモノが奢られた。メーターもメカニカルなモノに、シートはサイドサポートの張出しが大きなモノが装備され、特別なモノというイメージ作りに腐心していた。
一方、動力性能はN10時代に比べて一回り大きくなった事が災いし、いくら名機といわれた「E15」エンジンをもってしても、必要充分というレベルで、モアパワーが求められた。
それに対する日産の回答は…当時、日産が他の追従を許さなかった、ターボ化によるパワーアップであった。
E15Eの95PS 6000rpm/12.5kg 3600rpmに対して、E15ETは115PS
5600rpm/17kg 3200rpmと大幅に動力性能が向上した。(注:数値はすべてグロスである)
注目して欲しいのは、馬力もトルクもノーマルより低い回転数で得られている事だ。
単純にターボを付けるだけでなく、合わせてカムプロフィールも変更し、ターボ化によって得られたパワーを単純な力強さだけでなく、運転のし易さに振り向けたセッテイングは、なかなか良心的だと言えよう。
しかし、ラングレーのターボGTに与えられたキャッチは、「史上最強のスカイラインの弟か。」であったが、これだけはどうも頂けない。
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N12になってターボモデルが登場!ん?R30と走行している写真が…
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その写真の右上には「史上最強のスカイラインの弟か。」と…
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確かに、ラングレーはスカイラインのモノマネから派生した車種であったが、二代目になったのだから、もっと外観的な事でなく、内面的な所をスカイラインに見習って欲しかったと思うのは私だけであろうか?
前出の見開きのページでも「メルツェデスの様に」とか「ポルシェ」といった、名だたるクルマの名前が出ていたが、単にそれをマネただけで、それを自分のモノにしていなかった事には少々不満が残ってしまう。
あれやこれや、色んなクルマの良い所取りをしたが、結局何も残らなかったというのが、正直N12ラングレーに対する私の評価だ。
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意外と少ない標準のボディカラー。そして意外な色がオプションに
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本当に、クルマ自身ひとつひとつの出来映えは良かったのに、マネージメントが下手だった為に、売れ行きも今ひとつであったし、後世に印象が残らないクルマになってしまった事は残念でならない。